“弁当の日”をご存じでしょうか? 子どもが自分たちで食べる弁当の献立づくり、買い出し、調理、弁当箱詰め、片付けのすべてを一人で行うという食育の取り組みです。
 提唱者は、香川県の綾南町立滝宮小学校、国分寺町立国分寺中学校、綾川町立綾上中学校で校長をつとめた竹下和男氏です。
 2012年度で9年目を迎える国分寺中学校では、①今が旬弁当、②こだわり弁当、③安全・安心弁当、④地元の食材を使った弁当、⑤和食弁当、⑥郷土料理が入った弁当、⑦誰かに食べてもらいたい弁当――というようにテーマにも広がりが生まれています。
親が手伝わないことで、一人前になりたいという、子どもが本来持っている「生きる力」を育てようということでスタートし、実践校は全国約800校まで拡大しています。「“弁当の日”で日本を変える」との竹下氏の訴えが現実化しつつあるようです。

竹下和男(たけした・かずお)氏の略歴
1949年、香川県生まれ。香川大学教育学部卒。小学校教員9年、中学校教員10年、教育行政職9年を経て、2000年度より綾南町立滝宮小学校校長、2003年度より国分寺町立国分寺中学校校長、2008年度より綾川町立綾上中学校校長を歴任。2011年度よりフリーで執筆・講演活動中。著書『できる!を伸ばす弁当の日』( 共同通信社)、『“弁当の日”がやってきた』(自然食通信社)等。農林水産大臣賞「地域に根ざした食育コンクール2003」、読売新聞社賞「ご飯と笑顔のフォトコンテスト」等受賞。































ご意見  【講師・参加者】
講師のコメント
九十九里地域で“弁当の日”を
     子どもが作る“弁当の日”提唱者 竹下和男
きょうは多くの方々に講演を真剣に聴いていただきました。ここ九十九里地域においても“弁当の日”が定着することを願ってやみません。ありがとうございました。(談)
参加者の声
とても企画力に優れた講演会
日本の食育の問題点、家庭を取り巻く環境、子どもたちの発達機能について語られる
   社会教育政策研究家・こどもファンドレイザー 菅原大介
公立の小中学校で「弁当の日」を提唱する竹下和男さんの講演を聴いてきました。竹下さんは、元香川県の校長として、子ども自身が弁当づくりに取り組むプログラムを導入し、全国に波及する仕組みへと育て上げた実績をお持ちの方。政府も提唱する食育推進を「現場で」実践されています。
講演内容は、今の女子大学生の食生活の衝撃的な実態から始まり、小学校の子どもを取り巻く家庭の環境、味覚に関する発達の機能、「弁当の日」導入のドキュメント、プログラムを受けた子どもたちの成長などが語られました。スライドに登場した子どもたちがつくる弁当の数々はとってもユニーク!
数多く講演を聴いてきましたが、5本の指に入るうまさ。しゃべりそのものはクールですが、話の内容はユーモアたっぷりで、皆が「笑って泣く」、心を揺り動かされるプレゼンテーションでした。きっと校長先生としても子どもたちから慕われていたことが想像できます。
会場は千葉県山武郡の市民施設の小ホールで行われ、参加者は約70名ほど、ほとんどが地域の人で、50代くらいが中心層でした。場所が場所なので無理もないのですが、ただ、やはりこの参加者構成こそ、同じ若い世代から見て残念なところがあります。主催者の開催趣旨は地域振興ですが、とても企画力に優れた講演会。
私は逗子に住んでいるので、横須賀線の端から端まで移動した、とても長い一日でしたが(しかもたいへんな嵐…)、その価値ありました。日本の食育の問題点、家庭を取り巻く環境、子どもたちの発達機能、そのすべてをシェアしたく、以下、簡単にレポートにしてまとめました。ぜひ読んでみてください。
●講演テーマ
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命育む「弁当の日」で人が輝く!地域が変わる!子どもが作る「弁当の日」
●竹下氏講演
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【1】子どもが持っている機能
  ①人の役に立ちたい
  ・就職できずに自殺した若者が全国で53名いる事実
  ・台所に立ちたがる=邪魔しに来ているのではなく手伝いに来ている
  ②真似る
  ・模範と模倣 7歳までは模倣の時期
  ・子育てでは身につけさせたいものを見せる
  ③味覚の発達時期
  ・日本栄養学会 3~9歳が味覚の臨界期
  ・台所に立ちたがる年齢は5歳がピーク(本能)
【2】ある女子大生の食生活調査
  ・1日で食べたものをすべて写真に撮って分析
   カップめん、スナック菓子、ジュース
   柔らかいもの、調理がいらないものに集中している
   子どもができてからでは間に合わない
  ・食育基本法が成立して7年目
   自分でつくる場面が出てこない
   管理栄養士の学生ですら料理がつくれない
   服部調理学校学生の自炊率で4%
【3】弁当の日
  ・小学校で提案
   ルール
   ①子どもたちだけでつくる
   ②5~6年の家庭科の授業として
   ③年5回実施
  ・実施初日の反応
   朝、子どもたちが自分の弁当をシェアし合う
   →勝手に張り合うようになる
   米をとぐ、買い物に行く、親と一緒に台所に立つ、おばあちゃんから教わるなどの経験
  ・料理がつくれない親の子ども
   自分でつくれるよと言う反応
【4】プロジェクトの推進
  ・PTA役員/教員の反対→責任はすべて自分で追う覚悟をする
   ①包丁を触ったことがない
   ②ガスコンロに触らせていない
   ③早起きができない
   見切り発車ではじめ、いま実践校は1000校に~11年継続
  ・発表の場づくり
   食堂で一同に持ち寄って全学年皆の作品を眺める機会をつくる
   1~2年生は給食があるが早く5~6年生になりたいと言い出す
  ・推進して実感すること
   日常生活の中に家事を一人前にする要素があった50年前
   学歴・習いごと偏重の社会へ、料理することの価値低下
【5】感想文からわかった子どもたちの成長
  ・弁当をひとりでつくった子ども
   →自分で米・野菜を作ってはいないことに気づいた
  ・食べる側→つくる側の経験
   つくってくれた人の気持ちがわかる
  ・忙しい中早起きしてサポートしてくれる母が「楽しみ」だと言う
   →「私もそうしてあげたい」
【6】中学校での実践(国分寺中学校)
  ・ぜんぶ冷凍食品という家庭の子「仕返し弁当」
   →手づくりで仕返しをしなさいとアドバイス
   (親はつくる教育を受けていない)
  ・焦げた失敗弁当を持ってきた子
   大切なのは失敗をさせないことではなく失敗に耐えられること
  ・野菜スティック弁当を作ってきた子
   寝坊してしまったが今から間に合うものを考えてきた
【7】かわいそうな子への対応
  ・父子家庭での実施はつらいと相談を受ける
   家庭まで行って子どもを引き取った責任を果たしてと説得
   子が親に感謝をするようになる→親の言うことを聞くようになる
  ・課題に対する考え方
  「かわいそうな状況」は皆でそのまま放置しているだけ
   子育ては楽しいというメッセージを大人が連携して伝えていくこと
(「セミナー事務局の機知 wit」より)

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