高橋 秀明 氏
慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科特任教授
東日本大震災に加えて原発事故という極限状態の中で、それぞれの立場の人たちがベストの判断と行動をしたにもかかわらず復旧・復興体制、原発事故対応が容易に進みません。
日米でトップマネジメントを務めた慶應義塾大学大学院特任教授の高橋秀明氏は、リーダーシップ、コミュニケーション、組織、リスク管理、ガバナンスなどに問題があると指摘しています。
原発問題と日本企業のグローバル化の問題の根底には、絆を重んじる内向きコミュニティ、多言・直言をよしとしないコミュニケーション能力不足、相互信頼が重んじられる社会でリスク管理が表面に出にくい面等々があるといっています。
これからの30年は新興国が成長点になるでしょう。その新興国の現地でソーシャルキャピタルをはぐくんだり、そうして実力を備えた新興国との厳しい競争にも打ち克てる次世代リーダーの養成が急務です。
その育成法を実務家の立場から高橋氏に語っていただきます。
- 略歴
- 高橋秀明
- たかはし・ひであき
- Takahashi Hideaki
- 1948年3月生まれ。
- 慶應義塾大学大学院電気工学研究科修士課程、ニューヨーク州立大学修士課程、コロンビア大学EBAプログラム修了。米国NCRコーポレーション上席副社長兼日本NCR代表取締役会長、米国AT&Tコーポレート・オフィサー、富士ゼロックス代表取締役副社長兼CIO等を歴任後、慶應義塾大学大学院特任教授。日米欧の企業で社外取締役、国立科学博物館経営委員を兼務。アジアを中心にグローバル人材教育に従事。
講師のコメント
「この地域は、必ず良くなるだろう!」と確信
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授 高橋秀明
ただでさえ堅苦しいお題なのに、本降りの雨。今日の参加者は少ないだろうなと思っていたらなんと満席でした。ねっと99夢フォーラム事務局の動員力、おそるべし!しかも参加者はヤングからシニア、学生、主婦、会社員、自営業、農業、経営者、町会議員さんと、素晴らしい多様性。こんなにたくさんの大網白里町近隣の人が社会問題に興味を持ち、核心をついた質問をドンドンしてくる。「あー、来て良かった!」と思いました。そして「このまち、この地域は、必ず良くなるだろう!」と確信しました。
税金を払い、議員を選ぶだけでは、国は良くなりませんよね。われわれ市民も考え、行動し、発言し、自分のまわりを良くしていく。まちと市民の相互作用、キャッチボールが大事ですね。
最後に「コップ半分の水」の物語、Can Do Spiritを覚えていていただければ幸いです。先が見えないとき、辛い時、ちょっと勇気がいるとき、キット背中を押してくれるでしょう!
受講者の感想
「静かに畳み掛ける深大さ」に圧巻!
高山 英子(茂原市在住)
この企画への参加は数回ですが、いつも感心するのは「煌めく講師」の布陣です。権限を駆使する行政のそれよりも、失礼ながらその辺の大学などのそれよりも格段上をいくものだからです。まずはスタッフの皆様に感謝申し上げます。
さて、今回の高橋秀明氏の講演ですが、一言で表すと「静かに畳み掛ける深大さ」です。奇しくもあの“団塊”の同世代。普通のおばさんの目線にまで引き降ろして申し上げるのは恐縮ですが、この世代の芯は「何事も五分五分でやること」。お許しを。
「山積みの課題にどう切り込むか」これが聴講の目的でした。「大震災の教訓!」の表題で大旨予想できたポジティブさは、経験に基く理論(これ肌感覚?)で整然と裏打ちされていました。そして分り易い例をやさしい言葉で伝えて下さり、納得の連続でした。
それにしても緊急時の「権限」の在り所と使い様には、改めて愕然としました。原発の吉田所長はその後如何に?お話を聞きたいものです。「修羅場経験の勧め」「半分ある水か半分しかない水か」には同感。白か黒か、イエスかノーかの前に「なんでもあり」の現在を「あれもある、これもある」と方法を見出し、「想定外」をつくらないこと。「技術屋の意地」と「権限」の融合は有り得ないのか。縦割りに陥らない分立を保ちながら、多言・直言し合う事でしょうね。これからは「知恵ある一般人」を目指し、ベストリーダーを逆指名できるよう研鑚したいものです。