大畑 誠也 氏

九州ルーテル学院大学客員教授  09.03.14

21世紀の人(本もの)づくり
  ~悪戦苦闘能力を身につけよう~

 熊本の名校長・大畑誠也氏が2008年3月、定年で教育現場を退かれました。
最初に校長を務めた天草東高校では、生徒数の激減で廃校の危機に立っていたのが、3年間で志願者が倍増となりました。その秘訣は、「大きな声で挨拶」「大きな声で返事」「大きな声で校歌」「1日1回図書館」の実践や、朝食を摂らない生徒への炊き出し、「親に感謝し、親を大切にする教育」の集大成としての演劇フェスティバルなどです。
菊池高校では、教師の率先垂範と、21世紀に求められる「悪戦苦闘能力」(挨拶・体力・感性・集中・思考)の育成を提唱し、日本一の学校づくりを進められました。
熊本商業高校では、伝統校として過去の栄光を取り戻すため「実践力」を規定、「挨拶」「目標」「感性」の重点事項を推進し、資格取得を全国商業学校の第4位にアップされました。
八代高校では、県下3番目の進学校として「Cool Head but Warm Heart」をスローガンに、冷静な判断力と豊かな人間性を兼備した21世紀日本のリーダー養成を宣言、1年後の国公立大学合格者数を147人(41人増)に引き上げました。
第一高校では、「白梅の精神」(叡智・純潔・節操・自律・真理の探究)を根づかせたいと、「挨拶」「目標」「感謝」を明示し、「賢い女性」の養成を掲げられました。
最後の熊本盲学校では、「挨拶」「挑戦」を掲げ指導したところ、挨拶はほぼ100%、アンサンブル部が全国大会の金賞、資格取得も高い合格率を誇ることになりました。
全国高等学校校長協会総会(1998年)で強力な示唆と絶大な感銘を与えた講演に触れられます。教育関係者もそうでない方も、必ずや感嘆、感動されることでしょう

<Profile>
1947年熊本県生まれ。1972年熊本大学法文学部法学科
卒業後、熊本県立天草農業高等学校(現苓明高)へ社会
科教諭として赴任。熊本県立大津産業高等学校(現翔
陽高)、教育庁学校人事課教育審議員を経て、1995年
熊本県立天草東高等学校長に就任。その後、菊池高等
学校、熊本商業高等学校、八代高等学校、第一高等学校、
盲学校の学校長を歴任。2008年4月九州ルーテル学院
大学客員教授に就任。氏の活動の軌跡は、田中真澄著『学
校を激変させる あいさつ教育 ~校長のリーダーシッ
プと説得力はこうして創る~』(ぱるす出版)に詳しい。








講演レポート
九州ルーテル学院大学客員教授
大畑 誠也 氏
ご意見  【講師・参加者】
講師のコメント (大畑誠也)
実践に結びつくように取り組んでいただきたい
九州ルーテル学院大学客員教授 大畑誠也
 第3回山武郡市合同講演会・第25回ねっと99夢フォーラムに、講師としてお招きいただきました。
 大網白里町に着いて、私が千葉は初めてと申し上げると、全長約60キロメートルの日本で一番長い砂浜・九十九里浜へご案内いただきました。
 太平洋のダイナミックな大波を見て気持ちが昂揚した後、会場の大網白里町保健文化センターへ向かいました。
 九十九里地域のみなさんは、聴く姿勢が素晴らしいですね。私の講演に一所懸命耳を傾けてくださいました。私も話していて非常に気持ちがよかったのを覚えています。
 主催者のみなさんの目的は、「街づくり」「人づくり」「元気づくり」とのことですね。ぜひ実践に結びつくようになっていただきたい。そうすれば私がうかがった甲斐があるというものです。がんばってください。(談)
教師の目
びっくり! 大畑先生は、凄い実践家でした!
   小学校教諭 今井静子
 元気いっぱいの熊本弁と身振り手振りのパフォーマンスで熱弁を振るい、次々に墨痕鮮やかな活字・数字を掲示し……、こんなことで驚いてはいられない。勢いあまって、ステージから客席まで飛び降りてきてしまう。こんな元気いっぱい、笑いいっぱい、感動いっぱいの講演会は今までみたことがない。大畑先生は、私たち聴く者の心を釘付けにしてしまった。本当に、たまがった。(熊本弁で、「驚いた」)
 何がそんなに凄いかというと、「本もの」をつくるための凄い実践家だからだ。先生の口から次々と発せられる言葉、「挨拶や朝ごはんが大事なこと、家の手伝いの必要性」などなどみんなわかりきっているし、大事なことだと十分承知しているし、目新しいことでもなんでもない。ところが、それがいかに重要なことであるかを先生方や生徒、そして保護者まで納得ゆくまで説明し、実践できるまであの手この手を駆使し、徹底して行い、生徒たちを見事に変容させてしまうところが凄い。これと目標を決めたら、定期的に達成率を数値化し、生徒たちの変容を確認しながら、最後までやり遂げる。「凡事徹底」を見事に成し遂げている。「挨拶然り、朝ご飯然り、手伝い然り」。人として、本当に大事なことは意外と当たり前のこととして、見過ごされているのかもしれない。この当たり前のこととして、見過ごされているのかもしれない。この当たり前のようなことがきちんとできていることが、これからの時代の「本もの」―悪戦苦闘能力―を身につけた人になるための前提なのかもしれないと思った。(私たちは、なんとひ弱になってしまったのかと改めて考えさせられた)。今、人間の長い歴史の中で培ってきた、この当たり前の大切なことを、今一度きちんとできる私たちでありたいと強く思った。
 また、大畑先生の教育にかける熱意、「本ものの人づくりをするぞ!」「日本一の学校にするぞ!」の勢いに圧倒されつつ、勇気をいっぱいいただいた。
 強力な示唆と感動をありがとうございました。
参加者のアンケートより